パドヴァの裕福な商人、スクロヴェーニ家の礼拝堂に描かれた壁画連作『キリスト伝』の一場面。 十字架から降ろされたキリストを囲んで、聖母マリアや福音書記者ヨハネらがその死を嘆き悲しんでいる。 死を表わす枯れ木の根元から聖母マリアとキリストに向けて、岩山の稜線を横切らせる空間構成、動きと立体感のある人物描写、悲痛な表情をとらえた感情表現が演出されている。 ジョットは聖書の物語をはじめて迫真的な人間ドラマに仕立てあげた。