西洋絵画美術館

ボッティチェリ 「ヴィーナスの誕生」

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製作年:1485年
寸  法:175x278cm
技  法:テンペラ カンヴァス
所  蔵:フィレンツェ  ウフィツィ美術館
ヴィーナスの誕生

ギリシアの詩人へシオドスによれば,ヴィーナスは海の抱から生まれ,帆立貝の貝殻にのって,ゼフユロスとタロリスの優しい風を受けてキュプロス島のパフオスに上陸したという。このヴィーナスの像は,古代ギリシアの画家アベレスが描いた伝説的な名画,海からあがり濡れた髪をしぼるヴィーナスの絵を念頭に置いている。ゼフュロスとタロリスは,ロレンツオ・デ・メデイチの最も高価な収集品である≪タッツア・ファルネーゼ≫(1471年に購入した半貴石製の大皿)に彫られた飛翔する2人の人物から取られている。一方≪リマヴェーラ(春)》では,ポッティチェリは,ヴィーナスが,おそらく神的な美を観想すべく彼女の王国に私たちを招くさまを描いている。ヴィーナスの侍女である三美神 アグライア,エウフロシュネ,タレイアーが踊り,彼女の上方では目隠しされたキューピッドが矢を放とうとしている。左側では,メルタリウスが魔法の杖(カドゥケウス)によって雲を散らせ,右側ではタロリスがゼフユロスから逃れようとしている。ゼフユロスがタロリスを抱擁すると.天上の星にあたる地上の花が彼女の口から溢れでて,タロリスはそのかたわらに立つ女神フローラへと変身する。ポッティチェリが彼らの背後に描いたオレンジの木立ち,花々がまき散らされた草むら,風に舞う透けた衣の美しさはたとえようがない。

 2つの作品はいずれも,ロレンツオ・デイ・ビュルフランチェスコ・デ・メデイチの別荘ヴィラ・カステッロを飾るために描かれた。当時のフィレンツェの人文主義者たちはこれらの絵に多くの二重の象徴表現を見いだしたにちがいない。たとえばヴィーナスは異教的な愛と人文主義者が理想とする精神的な愛を表していたと考えられる。同じ意味あいで,三美神は純潔、美、愛の擬人像でもあった。

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