作品名:落穂ひろい 製作年:1857年 サイズ:83.5x111cm 技法 :油彩 キャンバス 所蔵 :パリ オルセー美術館 |
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1856年から57年にかけて、ミレーは貧窮のどん底にあり、一時は自殺も考えたという。そういう時期に描かれたのが、この作品である。落穂拾いとは、刈り取りの終わった畑に落ちている糧を一粒一粒拾っていく作業のことで、最も貧しい農民が行うつらい労働であり、それをとり上げたミレーの作品は、政治的プロパガンダの意味合いをもつのではないかと評されたのも無理はない。また、この人物は畑に立っている案山子(かかし)だとまで酷評された。 ミレーは、自分は評論家ではないし、ただ自分が見た情景を率直に描いただけであると答えている。しかし、光と影によってみごとに綾取りされて彫刻のように浮かび上がる人物像と、≪仕事に出かける人≫や≪種蒔く人≫でも見られなかったコントラスト的効果をもつ背景の処理などに、ミレーの卓抜した技量が見てとれる。近景と遠景といった単純な対比だけを見ても、そのリアリティーのすばらしさには驚嘆させられる。まさに名画中の名画といえる。 また、この作品が名画中の名画と言われる所以は旧約聖書の一説が含まれているという点にもある。 旧約聖書(申命記) あなたが畑で穀物の刈り入れをして、 束の一つを畑に置き忘れたときは、それを取りに戻ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。 ミレーはこのことについてただ「見たままを描いた」としか発言していない。 そこにも謙虚で寡黙なミレーの優しさがにじみ出ている。 この作品はギャラリーアオキ購入できます。 |
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