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作品解説「ポントワーズの花咲く菜園、春」

ヤコブ・ピサロ(フランス)1830〜1903

作品名:ポントワーズの花咲く菜園
製作年:1877年
サイズ:65.5x81cm
技法 :油彩 キャンバス
所蔵 :パリ オルセー美術館


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ピサロの絵のタイトルで明確なものはごく稀で、ふつうは大まかな説明か場所の名で済ませている。
《赤い屋根、村はずれ、冬》 という詳しいタイトルは、もともと付けられていたもののようで、それゆえ重要な意味をもっている。ピサロは、最近タイルを張り替えられたばかりのコト・サン=ドニの屋根を描くつもりだったようである。その屋根の目に立つ色彩が、彼に強烈な印象を与えたにちがいない。彼はそれらを単に再現しただけだが、その屋根の赤さを潅木や大地や周囲の風景の赤と関連させながら探究している。≪赤い屋根》は赤色の研究なのである。
 色彩およびそれを塗るテクニックもまた、≪ボントワーズの花咲く菜園、春》では重要な意味をもっている。ピサロは、カンヴァスに絵具をならすように塗って滑らかな表面を得るというよりも、一つ一つの色をたっぶりと筆ですばやく塗りつけて、純粋色のぶつかり合いをつくり出している。 このテクニックから生じた絵具の積み重なりは、ところによって、とくに白い花のところで非常に厚く、絵の表面から浮き上がって見えるほどである。
 1870年代、80年代にボントワーズでピサロと一緒に頻繁に制作したセザンヌも、これとそっくりの光景を描いている。彼が自分のイーゼルをピサロのそれの隣に立て、二人の画家が肩を並べて絵を描いたことは疑いない。

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